カラーユニバーサルデザインとは

「ユニバーサルデザイン」といった言葉はご存知でしょうか?

これは「すべての人のためのデザイン」という意味で、年齢や性別、国籍、障害の有無など関係なく、だれもが利用しやすい、わかりやすい、暮らしやすい社会になるようにデザインすることを指します。

その中でも今回は、「カラーユニバーサルデザイン」を取り上げます。
その名の通り、色に関するユニバーサルデザインです。

そもそも、人の色の見え方は一様ではなく、様々な要因で一般的な人とは異なる色の見え方をする人が多く存在します。

そういった色の見え方が違うことを、「色弱」や「色覚異常」といいます。
最近では「色覚多様性」と言ったりもするようです。(以下色弱に統一して記事を書きます。)

日本では、男性の約5%、女性の約0.2%の人が該当するといわれ、日本全体では300万人以上いるとされています。
白人男性の場合はより多く、約8%が色弱ともいわれており、世界的に見ても色弱の方は珍しいものではありません。
参考サイト:読売オンライン「人間の色覚と色弱補正に関する研究」https://yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20120719.html アクセス日2023年8月1日

色弱の方の中でも、色の見え方は変わります。
すべての色弱の方が同じように見えてるわけではありません。

このように、世界にはいろいろな色の感じ方をする人々がいます。
それを踏まえて、どんな人でも使いやすい、わかりやすいデザインをカラーユニバーサルデザインといいます。

色々な見え方

人間の網膜は、赤・緑・青の3色を感じる能力があって、その刺激の強さにより色々な色を認識できます。

人の色覚(色を識別する感覚)タイプは5種類あります。

C型:3種類の錐体がすべて揃っている人(一般的)
P型:3種の錐体のうち赤い光を主に感じる錐体が無い人(色弱の約25%)
D型:緑の光を主に感じる錐体が無い人(色弱の約75%)
T型:青い光を主に感じる錐体が無い人(ごく少数)
A型:3種の錐体のうち1種類しか持たない人や、錐体が全く無くない人(ごく少数)
参考サイト:北海道カラーユニバーサルデザイン機構「色覚の仕組みと呼称」https://www.color.or.jp/about_cud/construction/ アクセス日2023年8月1日

デザインをするにあたって、一部の人にだけ見えるデザインはカラーユニバーサルデザインとは言えません。

例えばこの画像を見てください。

あなたがC型の場合、ピンク色と緑色の2色が見えると思います。

しかし、D型の人がこの2色を見ると、このような色に見えます。

どうでしょうか、区別がつきますか?
このように、色の選択よっては、色弱の方は色の区別がつきにくいのです。

色覚異常シミュレーション

では、作ったデザインがどんな人にも見えやすいか確認するためにはどうすればいいでしょうか。

そんな時はAdobe illustratorやPhotoshopの色覚異常シミュレーションが便利です。
この2つのソフトでは、色弱の方の大多数を占める、P型とD型の人の見え方がシミュレーションできます。

今回はillustratorでの使い方を説明しますが、Photoshopでも全く使い方は同じです。

まず、シミュレーションしたいデザインを表示します。

画僧が用意出来たら、上部メニューにある表示から校正設定を開きます。
その中にP型色覚と、D型色覚というメニューがあるので、その二つのメニューを押すだけです。
Photoshopでも表示>校正設定と開けばその中にP型色覚と、D型色覚というメニューがあるので同じ流れです。

P型を選択したとき

D型を選択したとき

まとめ

上記のように、AdobeのillustratorやPhotoshopでは「色覚異常シミュレーション」が簡単にできます。

今回デザインしたシミュレーションでは、若干人物の肌と背景の色が同化していますが、文字ははっきりと認識できるため、可読性は高いデザインだといえます。

ぜひ、皆さんも自分で制作したデザインを一度シミュレーションしてみてください。

誰もがわかりやすい、使いやすいデザインを作るのは難しいと思いますが、いろいろな見え方の人が世界にはたくさん存在するという意識があるだけでも作るものは変わってくると思います。