今回の記事では、転職活動に必須の書類「職務経歴書」について、フォーマットや書き方のポイントなどをご紹介していきます。
Table of Contents
職務経歴書とは?
職務経歴書とは、これまでの所属会社での仕事内容や経験・スキルをまとめた書類のことです。
履歴書と共に転職活動における重要書類であり、言い換えれば「これまでの仕事のPR資料」です。
履歴書と職務経歴書の違い
履歴書は、厚生労働省が作成し推奨している様式があるなど、ある程度定められた項目やルールに従って作成しますが、職務経歴書には定められた様式はありません。
履歴書では、氏名、住所、学歴、職歴などを簡潔に記入するため、実際にその人の仕事内容や実績・成果、仕事ぶり等を詳しくは推し量れませんが、職務経歴書では、自由フォーマットでそれらについて深く掘り下げることができます。
そのため、この2つの書類をもって、採用企業の応募書類とすることが多く、書類選考の結果を大きく左右します。
職務経歴書を作成する前に
慣れていないと、実際に何を書けばいいのか分からない、という人も多いのではないでしょうか?
応募企業に応じて記載内容を微調整しても良いですし、汎用的に使えるものを一つ作成しても構いません。ただ、やっつけで作成することは、あまりオススメしません。
前述の通り、書類選考の結果を左右する重要書類です。過去の経歴・結果を今から変えることはできませんが、書き方次第で読み手の印象が大きく変わるのも事実です。そのためにも、ぜひ今一度、自分自身に目を向け、自己分析を行い、キャリアの棚卸しをじっくり行ってみてください。
遠回りかもしれませんが、こういったことを行っておくと、いざ、面接に進んだときも、面接官の質問にもうまく回答できることでしょう。
※自己分析の方法については、以下の記事も参考にしてみてください。
転職を成功に導く!自己分析の進め方
職務経歴書のフォーマット
職務経歴書には、絶対に決まったフォーマットというのはありません。そのため、他者と差別化できることは強みになりますが、ポイントは押さえておく必要があります。
重要なことは、読みやすさ・分かりやすさです。長すぎても短すぎてもいけません。A4サイズだと1~3枚程度になるようにまとめてみてください。
主なフォーマットには、次のようなものがあります。
編年体形式
編年体形式は時系列に沿って、過去から現在までの所属企業ごとに職務経歴をまとめる形式です。
職務経歴書上、一番古い経歴が一番上に記載されます。キャリアの浅い方や、直近の仕事内容より、過去の経歴をPRしたい方はこの形式で記載しておけば間違いありません。
履歴書と照らし合わせて読むことができるため、これまでのキャリア、身につけてきた経験・スキルについて採用担当者に伝わりやすい特徴があります。
逆編年体形式
逆編年体形式は先ほどの編年体形式の逆バージョンです。つまり、直近の経歴から遡って記述していく形式です。現在(直近)の所属企業の職務経歴が、職務経歴書の一番上にきます。
この形式では、直近の実績を一番最初に持ってくることができるため、直近の仕事内容・実績をアピールしたいときには効果的です。時系列順に書くと、強調したい内容が最後の方に来てしまったり、埋もれてしまったりする場合は、逆編年体形式の方がオススメです。
転職回数の多い方や社会人経験の長い30代以上の方はこちらの形式の方が採用担当者に、キャリア内容が伝わりやすいと思われます。
その他、強調したい直近の経歴の部分は記述ボリュームを多く、過去の経歴でそこまで詳細を記載する必要のないものは、さらっと概要だけにするなど、メリハリをつけて記載しましょう。
キャリア形式
キャリア形式とは、経験してきた業務内容やプロジェクト単位でまとめる形式のことです。
記載の順番に指定はなく、アピールしたいものから記載していって差し支えありません。ITエンジニアなどの技術職や専門性の高い職種、転職回数が多い方には記載しやすいフォーマットかもしれません。
経験した職務や分野を軸にして記載するため、その点では伝わりやすくなりますが、一方、時系列順ではないため、いつ、どの会社で何をしてきたかが分かりづらいという、デメリットもあります。
職務経歴書の書き方のポイント
書類選考のゴールは、『採用担当者に応募者に会いたいと思わせ、面接に持って行くこと』だと言えます。その判断材料として重要なのが、職務経歴書です。
次のようなポイントはぜひ意識してみてください。
できるだけ数値化し、定量的に
抽象的な内容や精神論的な内容だけの記載だった場合、採用担当者はその成果がどれくらい素晴らしいものなのかが判断できません。そのため、数値化できるものは、できる限り数字で示しましょう。
たとえば、営業組織であれば、売上金額だけではなく、「30名中1位」や「予算比120%」などの記載ができます。
また、実績でなくとも、職務内容として、テレアポや飛び込み営業などをしていた場合、日や月単位で何件架電していたのか、何社訪問していたのかも書くことができます。新規営業と既存営業の比率や担当社数なども数字で示すことができます。
営業職に限らず、事務職なら月に何件〇〇の処理を担当していた、エンジニアなら〇〇人月のプロジェクトで10kステップのシステムを開発した等、具体的に書こうと思えばいくらでも書けるはずです。
きちんと数字で示すことで読み手に100%の情報を伝えることができます。
日付は西暦で統一
和暦と西暦は混在しないようにしましょう。履歴書も含め、西暦で統一して書いておけば間違いないでしょう。(ただし、指定がある場合は、それに従ってください)
文章ではなく、箇条書きで
長々と文章で説明してしまうと、理解するのに時間がかかってしまいます。そのため、職務内容などは読みやすさを重視して、箇条書きで記載しましょう。
ただし、実績・成果等は、補足説明や具体例を書いた方が伝わりやすいです。その場合、箇条書きでなくて構いません。タイトルと説明文にする、文字を強調するなど、少しでも伝えたいことが目立つようにしましょう。
長過ぎず、短過ぎず、適切な文章量で
採用担当者にあなたのキャリアを端的に分かりやすく伝えるため、職務経歴書は長過ぎても短過ぎてもいけません。年齢や経験年数によっても変わってくるかとは思いますが、筆者は、A4サイズであれば、2枚を目安に長くても3枚に収まるようにすべきと考えています。
短過ぎると内容が薄すぎてキャリアがないように見えてしまいますし、逆に長過ぎる場合は、強調したい部分が薄れてしまったり、記憶に残らなかったりしてしまいます。
自己PRには具体例やエピソードを交える
自己PRでは、伝えたいこととその根拠(実績)を示しましょう。
そのためには、過去の仕事内容に関するエピソードも記載し、自身の強みを活かして、どう行動して、結果どうなったかが分かるようにすると良いでしょう。
職務内容と実績は分けて記載
職務内容と実績は、文章の中で一括りにするのではなく、別々の項目を立てて、記載するようにしましょう。
採用担当者は、職務内容を通して定性的な「経験」を、実績を通して定量的な「レベル感」を見ています。
こちらも箇条書きで分かりやすく伝えることが重要です。
職務経歴書ダウンロード※サンプル
職務経歴書の項目例
続いて、実際に職務経歴書に記載すべき項目例について見ていきたいと思います。
職務経歴書はあくまで自由形式のため、「絶対にコレ」といったものはありません。ただ、自身のことを知らない第三者(採用担当者)に読んで、理解してもらう、さらに言ってしまえば、書類選考を通過させてもらう必要があるもなので、ある程度のポイントは押さえておくべきです。
一般用
- 職務要約
- 職務経歴
●会社概要
・在籍期間 会社名 雇用形態
・事業内容
・資本金 売上高 従業員数
●業務内容 ※表形式の方が分かりやすい
・期間 業務内容
・職務内容、実績、工夫した点 等 - 保有資格
- PCスキル
- 自己PR
また、IT業界のエンジニアの方向けには、次のような項目で作成してみても良いでしょう。
IT業界では、プロジェクト単位で業務に従事する機会も多く、担当プロジェクトの概要や、規模、自身の役割(役職)、開発環境や開発言語、担当フェーズ(工程)についても記載していきます。
ITエンジニア用
-
- 職務要約
- 活かせる経験・知識・技術
- 職務経歴
●会社概要
・在籍期間 会社名 雇用形態
・事業内容 ・資本金 売上高 従業員数
●業務内容 ※表形式の方が分かりやすい
・プロジェクト期間 プロジェクト名
・プロジェクト概要、担当フェーズ、業務内容、実績・工夫した点
・開発環境(言語/OS/DB)、プロジェクト規模、役職
- テクニカルスキル ※表形式の方が分かりやすい
・種類(OS/言語/DB等)、経験年数、スキルレベル - 保有資格
- 自己PR
職務経歴書の記載例
ITエンジニアの方(一般職の方でも本質は変わりません)を例に職務経歴書の記載例について解説します。
01.職務要約
〇〇大学卒業後、20xx年4月に株式会社〇〇に新卒入社。システムエンジニアとして、約x年間、金融業界・教育業界でシステム開発に従事し、要件定義にもとづいた基本設計やテスト、保守運用を担当。20xx年からは上流工程に携わり、クライアントへのヒアリング、要件定義なども担当しています。また、最大xx名規模のプロジェクトリーダー/PMとして、全体の進捗管理やメンバーのマネジメント、品質管理、コスト管理も経験してまいりました。
今後も自己研鑽を重ね、成長し続け、貴社に貢献したいと考えております。
重要な項目です。採用担当者はまずこの項目を読み、あなたのキャリアの全体像を把握します。いつからいつまで、どこでどのような仕事をしてきたのか、実績を踏まえ、簡潔に記載しましょう。
02.活かせる経験・知識・技術
・顧客へのヒアリングから要件定義、開発までの経験
・PHP、Javaによるアプリケーションの開発(ウォーターフォール/アジャイルともに経験)
・約xx名~xx名規模のプロジェクトリーダー、サブリーダーを経験
・金融業界・教育業界の業務知識
03.職務経歴
04.テクニカルスキル
05.保有資格
保有資格を記載しましょう。06.自己PR
<先を見据えたユーザービリティと保守性の高い設計力>
金融業界での顧客管理システムの開発では、忙しい営業担当が社外からでも使いやすいような設計を心掛けてきました。あらかじめ変更や改修を見込んで開発に取り組み、随時修正がかけやすい設計やソースコードの記述を開発サイドへ依頼。サービス導入後もお客様にヒアリングやアンケートを実施し、改善を繰り返すことで、結果として大いに満足していただくことができました。
<円滑にプロジェクトを推進させるマネジメント力>
自社のメンバーだけでなく顧客先の関係者など、約xx名規模のプロジェクトを進めた経験があります。関係者が多くなるためスケジュールの遅延や認識齟齬が発生しないように、定期的に打ち合わせの機会を設けて進捗を管理。メンバーと顧客先との間に立ち、仕様や要望についても細かく調整、管理することで、大規模なプロジェクトも当初のスケジュールどおりに進めることができ、期日に遅れずリリースすることができました。
ぜひ一度面接の機会をいただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
このように業務に特化した内容でも良いですし、個人の特性にフォーカスした内容でも構いません。見出しで強みについて述べ、それを補足する形で、仕事でどう活かされたのかを具体的なエピソードを交え記述します。できるだけ、数字や実例を挙げ、具体的に記述することがポイントです。最後に締めの言葉で結べば完璧です。
以上
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は職務経歴書を作るためのフォーマットや作成時のポイントについてお伝えしました。
職務経歴書は履歴書と違って記載内容が自由であるが故に難しく感じてしまう方も多いと思います。
まだまだお伝えしたいことはあり、職務経歴書に盛り込むべき項目例や例文などは、また次の機会にさせていただきます。
職務経歴書は主に転職活動で用いるものではありますが、言わば、自分の仕事の歴史書です。
高校、大学を出て30歳で振り返ったとき、40歳で振り返ったとき、50歳で振り返ったとき…
あなたの職務経歴は、どのようなものになっているでしょうか。
将来どういうキャリアを築いていきたいか、どういった生活を送りたいかといった目線で、今の仕事への取り組み方を見直してみるのもいいかもしれません。