就職活動/転職活動において大事とは聞くけれど、軽視しがちなのが自己分析です。

・今の会社ではもうやっていけない!
・もっと給料の良い会社、もっとワークライフバランスが取れる条件の良い会社で働きたい…
・求人サイトにも登録したし、色々な求人を見比べて早速応募していこう!

これでは転職活動は上手く進まないことでしょう。
今回は、転職でよりミスマッチをなくすために行うべき自己分析について説明していきます。

自己分析とは何か?

そもそも自己分析とは何でしょうか?その意味から考えましょう。

自己分析とは、自分の本質を理解すること。
これまでの経験や思考を整理、分析し、自分の能力や性質、強みや弱み、今後のありたい姿などを理解することです。

転職を考え始めたとき、あなたはまず何から始めますか?
周りの友人、先輩に相談する人もいるでしょう。スマホ片手に、転職の仕方を検索したり、求人サイトに登録し、手あたり次第に自分に合いそうな求人に目を通す人もいるでしょう。
欲しい情報が簡単に手に入る情報過多な現代社会において、どうしても”外”に目を向けがちですが、本当に重要なのは、“内”に目を向け、内省することです。
内省とは、「自分の思想、言動などを深くかえりみること」です。(出典 精選版 日本国語大辞典)

転職は、経済的な視点で見ると、転職市場とも呼ばれており、売る側(求職者)と買う側(採用企業)があって初めて成立します。
売る側=あなたが、自分という存在、あえていうなら商品をよく理解せずに、買う側=採用企業に十分アピールすることができるでしょうか?
自分のことは自分が一番分かっている…ようで、よく分かっていないものです。

「自己分析」=「内省すること」を十分に行い、それを言語化することで、自分自身の過去、現在についてより自己理解でき、そして、これからの方向性についても見えてくるはずです。

自己分析をする理由・目的
1.そもそも本当に転職すべきか?がわかる
2.自分に合う転職先の方向性が明確化
3.自己理解が言語化され、面接強化

自己分析の進め方

ここからは、実際の自己分析の進め方についてご紹介します。
全て取り組んでみてもいいですし、できそうなものから実践するのも良いでしょう。

① 過去を振り返り、自分史を作成する

まずは、自分自身の半生について振り返り、過去の経験を洗い出していきます。
たとえば、「印象に残っている経験」「楽しかったこと・辛かったこと」「努力を注いだこと」「価値観が変化した出来事」「成功体験・失敗体験」などです。
小学校時代、中学校時代、高校時代、大学時代、社会人のように時系列ごとに書き出していくと、スムーズに整理できます。

部活動やサークル、受験勉強、アルバイト、仕事での成功・失敗など自分が印象に残っている経験から考えたり、今までの人生で最も嬉しかったこと、悔しかったことといった気持ちの変化で考えたりするのも良いでしょう。

・印象に残っている経験
・楽しかったこと・辛かったこと
・努力を注いだこと
・価値観が変化した出来事
・成功体験・失敗体験 など

ここでは、履歴書・職務経歴書の自己PRや面接対策を意識した“映える”エピソードでなくても構いません。大切なのは、自分を見つめ直し、内省することです。

そして、書き出した過去の経験に対して、「背景・概要」「自分の行動・取り組み」「行動の結果」をまとめていきます。

続いて、それらに対して、「なぜ?」を繰り返し、過去の経験を深掘りします。

  • なぜ、そうなったのか?
    →○○だから→それは、なぜか?→△△だから→それは、なぜか?→…

※「なぜなぜ分析」と言い、なぜを5回(複数回)繰り返すことで、発生した問題事象の根本原因を探る分析手法として、広く知られています。

時系列 経験 概要 行動 結果
小学生        
中学生        
高校生        
大学生        
社会人        
※「なぜ?」で深掘りし、自己分析を進める

② モチベーショングラフを作成し、自分の考え方を「見える化」する

モチベーショングラフとは、自分の人生の時間軸を横軸、モチベーションの高低を縦軸に取った折れ線グラフです。モチベーションの動きを可視化することで、自分がどういった出来事に対して、モチベーション(満足度)が向上するのか、低下するのか、その要因について探ることができます。
結果、自分はどんなときに頑張れるのか、どんな環境が好きなのか、といったことを導き出すことができ、転職の方向性や企業選びの軸を作り出すことができます。

グラフが描けたら分析の開始です。「なぜ、そのときモチベーション(満足度)が高かったのか、または、低かったのか」を掘り下げていきます。

・外的要因…周囲の状況や他者からの影響など自分以外からもたらされる要因
・内的要因…その人の性格や能力などの内的なものによる要因

例)陸上部からバスケ部に転向し、モチベーションがアップ
 →なぜ気持ちが変化したのか?:メンバーと仲良くなってやる気がアップ
 →それは、なぜか?:チームスポーツで互いに切磋琢磨し、過ごした時間が長くなったから
 →仲間と協力する方がやる気も上がり、成果が出る
 →職場もチームワークを求められる環境が良いかもしれない

続いて、ターニングポイントについて注目します。

・グラフの「山」同士の共通点
・グラフの「谷」同士の共通点
・グラフの「山」と「谷」の違い、変化のタイミング

ターニングポイントに注目することで、自分がどんなときに力を発揮し、どんなときにモチベーションが上がるのかを発見することができます。
特に、頂点の「+→-」や「-→+」の瞬間の環境や感情を思い出すことが、自分の感情の源泉を知る助けになります。

③ キャリアの棚卸しをする

次は「キャリアの棚卸し」をしてみましょう。社会人としての経験があるなら、これまでの仕事内容を洗い出します。経験が浅い場合は、仕事以外の得意なことも含めて整理していきましょう。

社会人経験が十分ある場合、経験・スキルから棚卸し

これまでのあなたの経験や、得られた知識をできるだけ詳しく書き出します。すべての仕事には目的があり、過程があり、結果があります。その仕事によって得たもの、感じたもの、その積み重ねがあなたのキャリアです。時系列で、5W3Hをキーワードに思いつく限り書き出してみましょう。

書き出したら、これまでの経験(事実)を振り返って「嬉しかった仕事」や「辛かった経験」、「学んだこと」「身についたこと」「大事にしていたこと」「やりがいを感じたこと」「こだわっていたこと」「工夫したこと」(感情・想い)も追記し、肉付けしていきます。

・職歴(職種経験・業務経験)
・スキル(技能・知識・技術など)
・経験(業務内容・海外出張・研究開発など)
・実績(結果・数字・表彰など)

※5W3H:When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How many(どのくらい)、How much(いくら)

社会人経験が浅い場合、仕事以外の得意な部分も含めて棚卸し

今まで自分が経験してきた仕事内容だけから次の仕事を考える必要はありません。特に第二新卒や社会人経験が浅い場合には、趣味や特技など、仕事以外のキャリア(自分の持つ無形の財産)を棚卸ししてみるのも有効な方法です。

また、仕事以外のキャリアの棚卸しは、キャリアチェンジする時に思わぬ形で役立つこともあります。未経験の業種・職種に挑戦する際には、仕事以外のキャリアが接着剤となって、チャンスを広げられる可能性もあります。

まずは、以下のようなキーワードをもとに振り返ってみましょう。自分の持つ無形の財産(キャリア)をはじめ、自身の行動の傾向や、周囲の人との関わり方、将来のイメージなど、見えてくるものがあるはずです。

・知識(周りの人に30分間話して聞かせられる話題は?)
・能力(周囲の人にはできないことで、あなたにならできることは?)
・人脈(周囲の人にはない人脈があるか?)
・経験(周りの人がしたことのないような経験は?)
・特技(他人にしてあげて喜ばれたことは?)
・人間性(今まで上司や同僚、友人からどのようにほめられたか?)

④ WILL・CAN・MUSTフレームワーク

 

現在の自分の立ち位置や思考の整理に役立つのが「WILL・CAN・MUSTフレームワーク」です。「3つ輪」を描き、それぞれの観点で書き出し、思考を整理していきます。

WILL:現在の自分がやりたいこと。なりたいもの。
「自分は何がやりたいのか?」「どう在りたいのか?」「どんな人生を送りたいか?」など、転職活動を進める上で将来の方向性を決定づける最も大切な観点になるでしょう。明確なWILLを描けている人は少ないかもしれません。しかし、それで問題ありません。改めて立ち止まって、5年後、10年後どうなりたいか、または、どういう最期を迎えたいか(エンディングプラン)を考えることが重要です。

CAN:現在の自分ができること。
「自分は何ができるのか?」「どんな経験・スキルを持っているのか?」「どんな能力を持っているのか?」唐突に聞かれると返答に窮する人もいるのではないでしょうか。CANを見つめ直すコツは、謙虚にならないことです。もちろん、上には上がいますが、他人と比較する必要はありません。これまで自分が積み上げてきたスキル・能力を見つめ直してみましょう。

MUST:現在の自分がやらなければならないこと。
ここでのMUSTは、会社や社会から求められていること、期待されることを指します。誰しも自分のできることに対して、やりたいかどうかは別にして、役割・義務があるはずです。自分視点だけでなくMUSTという第三者の視点を加えることで、3つの輪が、よりシャープで客観的なものになります。

WILLとCANが重なる部分がキャリアの方向性

それぞれの円が重なる部分に注目します。「WILL=やりたいこと」「CAN=できること」が重なる部分、これが最も現実的なキャリアの方向性だと言えます。また、「今はできないが、自分が本当にやりたいことはこれ!」というケースもあり得ます。
場合によっては、転職ではなく、今いる企業の中での配置転換により、希望が叶うこともあるかもしれません。
現時点の考えを整理し、WILLとCAN、そして、MUSTのバランスを取りながら、自身の方向性を決定づけていきましょう。

おすすめの自己分析ツール

自己分析に役立つツールをご紹介します。WEBで無料診断できるものもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
※外部サイトには自己責任でお進みください。

ストレングスファインダー

ストレングスファインダーとはアメリカのコンサルティング会社ギャラップ社が開発した自己診断ツールです。その利用者は、全世界で1,800万人以上と言われています。WEBサイト上で、177個の質問に答えることで、自身の強みや自分のやりたいこと・向いていることなどが分析できます。
才能を34の資質(似たような才能の集まり)に分類。その34資質のうち、最も特徴的(優先度の高い思考、感情、行動のパターン)な5つを診断結果として出します。
テストを受ける方法は大きく3つで「書籍」「公式サイト」「スマホアプリ」で、アクセスコードを入手することで、受験できます。(有料)

ストレングスファインダー公式サイト
https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja

エニアグラム診断

エニアグラム診断とは、90問の質問に答えることで、人間それぞれが本来持っている特性や資質などを9つのタイプに分類し、思考やその人の強みなどを客観的に知ることが出来る自己診断です。9つのタイプには以下のものがあります。
《1.改革する人、2.人を助ける人、3.達成する人、4.個性的な人、5.調べる人、6.忠実な人、7.熱中する人、8.挑戦する人、9.平和をもたらす人》
上記9つのタイプを基本としており、さらに各タイプを肯定的反応・解決的反応・反射的反応の3つのグループに分けております。(無料版あり)

日本エニアグラム学会
https://www.enneagram.ne.jp/about/diagnosis/dns01

[SKIT] 能力診断

[SKIT] 能力診断とは、実際の選考で行われる形式に近い診断テストで、より実践的な形で自己分析ができます。診断には約65分と時間が掛かりますが、良質なフィードバックがあり、より実践的に自分の強み・弱みを理解できます。
課題発見能力、想像力、基本的思考力 などそれぞれの項目に得点が出ます。また、フレンドリータイプや、アナライザータイプ、コントローラータイプなど自身のタイプを特性毎にカテゴライズしてくれます。(無料版あり)

STRATEGIC MANAGEMENT KIT(S-KIT)
http://skit-work21.com/diagnosis/?diagnosis_key=8f50a6ace36a00ad55e09cdd33eba9e4

まとめ

ここまで自己分析の進め方について解説させていただきました。
転職活動において、注意すべきは、”「自己分析ファースト」であれ“、ということです。つまり、初めに自己分析を行い、その後に、業界研究・企業研究を行うのです。

なぜなら、「業界・企業研究ファースト」で進めてしまうと、求人票の”条件だけ”で見てしまい、自ら選択できる業界の幅を狭めてしまったり、面接時に自身の軸や、一貫性がないことが明らかにされたり、そして、転職後の「こんなはずではなかった…」という、ミスマッチが起きやすくなるからです。

自己分析ファースト」で転職活動を進めることで、単に仕事を”変える”だけでなく、より豊かな将来を”創って”いきましょう。

最後に

自己分析に行き詰まったら、転職のプロに相談するのも有効な手段です。
転職エージェントに相談し、言語化(アウトプット)することで、自分では気づき得なかった、”本当の自分”に出会えるかもしれません。

私たちは、どこよりもあなたに寄り添った転職サポートを行います。
一緒に悩み、一緒に成長していきましょう!